随筆かも知れない

大海

12月8日

海というものの八つの特性を説いた方が居られたようで、ものの本で読んだことはあるが忘れてしまった。特に覚えていなくてもいいと思う。特性を知らなくても海を知っていればよい。

因果関係という言葉がある。これは一般には原因があってそれによってもたらされる結果がある、その原因と結果の関係ということになっている。しかし、本当にそうなのであろうか。これは大いに考え直さなければならないことなのではないのだろうか。

南米ペルーの沖合で起こった地震による津波が何時間もかかって太平洋を渡り、日本に被害をもたらしたことがあった。この地震が因であると考えるなら、日本の被った被害が果であり、そうすると海水は縁であろうか。確かにそう考えると因、縁、果ということが一応すっきりと分かったような気にはなれる。しかし、間違いのもとはここにある。因があって果があるのではない。地震が日本近海で発生しても津波が起こらないことは多々ある。

確かに日本に被害をもたらした津波の原因はペルー沖の海底で発生した地震であった。これは果から因をたどった時に初めて必然性を持つ「因果関係」なのだ。因から果をたどるところに必然性のある関係はない。だから「良いことをした」から「楽しく暮らせる」、「悪いことをした」から「苦しむ」という考え方は何の根拠もないのであって、「良いことをした」のに「苦しまなければならない」ということもあり、その逆もある。そういった例は一々あげればきりがない。それなのに我々は因があってその結果があるという「常識」にいつまでもとらわれている。だからこれだけの善行をしたのに何故良い結果が得られないのかと嘆き、あんな悪行をしているヤツがあんないい暮らしをしているのは納得がいかないと憤慨し、果てにはあいつは死んだら地獄に行くのだと言い出す。

現在の自分という果がある。現在の自分という果から、その因というものを見つめていく。まずもって過去のどの時点かの自分を因と設定し、その因から現在の自分を見るのではない。あくまでも果から因を求めるのである。そういう視線の方向転換をしなければならない。そうすることによって初めて見えてくるものがある。それは何であるかというと縁である。縁というものによって初めて自分であり得ている自分である。

人それぞれに思い描き、表現する海がある。しかしそれだけが海ではない。群生海といい、大智海という。だが、二つ海があるのではない。


今回は久しぶりに「お寺の掲示板」に関したことを書こうと思ったのですが、大分横道にそれたみたいです。それでも、「なお深し」というのですから、二つの海を想定した言葉ではないはずで、そのことだけは最後になりましたが書きました。因から果が群生海、果から因が大智海と言えなくもないと思います。

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