随筆かも知れない

「おめでとう」

12月16日

「幸せとは何か」という問いに対し「生まれてこないことである」と応じる考えは、古くから洋の東西を問わずにあるのだから、人間というものが最も考えがちなことの一つと言えるのだろう。

恥ずかしながら私は「横川法語」が十分にいただけない。また、「三帰依文」の出典も知らない。数多あるいのちの有り様のなかで人間としてのいのちをいただいたことを思うとき、人間であるが故に仏法のままに生かされず、むしろお念仏にそむく生活をすることが多いのだから、歓べるはずもない。

もとより「幸せとは何か」という問いを持つのは人間に特有のことなのだろう。ことさらに「幸せ」の意味を追求し、己の信じる「幸せ」を求めなければならないのは、やはり悲しむべきことではないのかと思わざるを得ない。

例えば寒い風に吹かれる道端の雑草や冷たい雨にうたれる鳥たちは、しかし生死の迷いなく仏法のままに生かされているようで、うらやましく思う気持ちが私にあるのは事実だ。

あと半月のいのちのご縁をいただかせてもらうなら、新年だからということで私も「おめでとう」と言うだろう。しかし、ことさらに「幸せ」の意味を追い求め、その果てに「生まれてこないことである」と考えるままで「おめでとう」と言うのであれば、あまりにも空しい。

お念仏をいただかせてもらい、お念仏に生かされて「踊躍歓喜のこころ」をいただかせてもらうことが「幸せ」だとは言わない。他力ご廻向は「幸、不幸」という人間の分別ではない。「無生の生」とは「生まれてこないこと」ではない。「生まれてこないこと」が「幸せ」なのではない。あえて言うならば、幸も不幸もないのが幸せなのだ。


私ごとき者のHPの確認のためのこのつたない駄文をお読み下さる御同行様、慣れた口が意味もなく言う「おめでとう」ではない「おめでとう」を言おうではありませんか。こころは「なまんだぶつ」です。

最新の掲載へ  101回からの掲載へ

以前の掲載一覧
100 自燈明
99 (無題)
98 (無題)
97 不信にあらずや
96 大地
95 教訓
94 名宛人不明
93 具体
92 益・無益
91 大自覚
90 出来た人
89 お講の風景
88 いわずもがな
87 放言-3
86 放言-2
85 放言
84 宿業
83 不可思議
82 不思議
81 自我と我執
80 慚愧
79 報謝
78 感想文
77 余計なお世話
76 ある確認-3
75 ある確認-2
74 ある確認-1
73 (無題)
72 今にある歴史
71 とわれるもの(2)
70 問われるもの
69 証道の歴史
68 そのうえの念仏
67 中中おろかなり
66 大悲無蓋
65 無生の生、往生
64 「おめでとう」
63 称名
62 救い
61 いのちである言葉
60 信楽受持甚以難
59 家族の真宗
58 詮ずるに愚痴
57 無碍光如来
56 光明無量
55 非行非善
54 仏法聞き難し
53 (無題)
52 さるべき縁
51 いそぎ仏になりて
50 遺伝
49 無生
48 構造
47 迷い
46 (転載)
45 奇妙な反省文
44 現在
43 念仏、お念仏
42 (無題)
41 お聞かせ
40 謝すべし
39 相続
38 自縄
37 我が身
36 立所
35 心の向かうところ
34 不可説
33 個性
32 癒し
31 (無題)
30 ただ称える
29 輝く
28 有量
27 光と闇
26 深い闇
25 ただ一つ
24 離れる
23 意味の奥底
22 梅の花が
21 念ずる方向
20 穴の中
19 罰があたった
18 掌を合わす
17 悪人たる所以
16 極点に立つべし
15 大海
14 奇妙な酔っぱらい
13 ばあちゃんの避難訓練
12 無智
11 芸術の秋
10 仮想現実
日本教
ベクトルでもない
転んだら立ち上がれば...
京都の五山の送り火は
今回は関西弁で


「じねん」と読むらしいです
HEAVYってどういうこと?

かも知れない検索
(別窓で開きます)