随筆かも知れない

大悲無蓋

平成12年1月25日

「救い」とは何か。いま患っている病気が治ることであるのか、生活につきまとう苦悩がなくなることなのか、死んだら極楽へ連れていっていただけることなのか。

「救いとは何か」と問うとき、実は「はからう心」がすでにはいり込んでいるのではないか。はからう心が少しもないことが「南無」であり、そこにはたらいて下さるのが「阿弥陀仏」であるのなら、皮肉なことにお念仏させていただく人は誰一人救われない。

往生ということは救いではなく、恵みである。

如来の大悲は無蓋であって、その恵みの光に照らされながら救いを求める私たちは疑心あるに等しい。お念仏にであいながら値遇うていない。念仏してお念仏申していない。

お念仏は、つまり往生である。だから、ただ、お念仏申させていただく。「救い」が何かは知らないが、すでに救われてある。だから、ただ、お念仏申させていただく。


論理と便宜がお念仏を南無と阿弥陀仏に分ける。それもまた必要なことだろうが、真実の利とは学徳ではない。無蓋の恵みへの謝念がまた南無阿弥陀仏である。

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