随筆かも知れない

大自覚

平成13年7月15日

一般に「菩薩」は「仏」より一段(?)低い位を指すらしいのですが、詳しいことは知りません。ものの本ででも調べてみればよいのでしょうけれど、そんな気にもなりません。だって、私たちがいただいている教えは梯子段を一段一段上る教えではないんですもんね。たとえそういう梯子のようなものがあっても、それが横に置いてあるのであれば、五十一段目だろうが五十二段目だろうが、上下高低ということはないですからね。

余談ですけど、横に置いてある梯子の四十一段目のところに立って、一段目か十段目か、とにかくそこらにいる人を見て私は念仏いただいた、彼はまだいただけていないと言うのは、何だかとっても滑稽な話ではないんでしょうか。どうやら梯子というものができあがってるというのも確かなようですけれども、そもそもそれは大悲のなかに仮にあって、立て掛けられているのでなく横ざまに置かれているのではないんでしょうか。

さて、本願成就の阿弥陀如来の「自覚」をたずねてみれば、法蔵菩薩の四十八願がある。こういうことを仏仏相念というのでしょうか、唯仏与仏というのでしょうか、我々には分かりようのないことをお釈迦さまが我々にも分かる言葉にしてお説きくださいました。

阿弥陀さまにしてみれば「自覚」であるのだけれども、お釈迦さまは阿弥陀さまご本人(?)ではないから「自覚」でなく「因果」である。果上の阿弥陀如来の「自覚」のなかに因位の法蔵菩薩を見いだし、我々にあきらかにして下さった。そういうことであるのでしょう。

我々が「因果」と言っていることはおおかたが間違いで、それは本来「自覚」というべきものなのだけれど、自分の自覚でないから「因果」という言葉での説明になり、それをまた「因があるから果がある」というふうに我々の分別にとって分かり易いように読み直しているのではないか。そんなことをあやふやな根拠から何となく思っているのです。

法蔵菩薩は果上阿弥陀如来の因位の名であるけれども、果上阿弥陀如来は因位に法蔵菩薩であったぞと教えていただくなら、我々が自身の自覚とするところの内容であるべきものでもある。法蔵菩薩というのは固有名詞であるだけでなく、普通名詞でもあらねばならない。念仏が往生成仏の道であるならば、そうであるべきものである。何か自力くさいと思うのは、それは何かしら自分というものが他力のご回向の外にあって、外にあってお念仏もうしてそうして摂取していただくものと何となく恐る恐る考えているものではないだろうか。

お念仏により救われてあるいのちを知り、お念仏によって救われない私を知る。救われない私を知らせていただいて救われてあるいのちを知らせていただく。救われてあるいのちを知らせていただいて、また救われない私を知らしめられる。これは言葉を弄しているのでなく、念々相続。念々相続してあらゆる救われない私を知らしめられ、そうして救われてあるいのちに帰一するそのときすべての衆生が救われてある。こういうことが分かるというのでなく、こういうことを自覚とする。法蔵菩薩は念仏の衆生の代表者であって往生成仏の体験者、出来た人(しゅつらいした人という意味でもある)のなかの出来た人である。


まん丸い南無阿弥陀仏の歴史に阿弥陀如来がおいでになり、阿弥陀さまが南無阿弥陀仏なされるところに南無阿弥陀仏はまん丸い。まん丸いところに念仏という法の成就(円満)があったわけで、この法にご回向もあれば摂取もある。その外にいると思い、そこに自らの力で入らなければならないと考える衆生にとっては、まん丸い円はどうにも入口のないものである。どこからでも入れそうで、いざ入ろうとすると入口が見つからない。入るのでない。中にいる自覚をいただくのである。

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