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山道を横切って流れる小さな川に、亀が棲んでいて、毎年梅雨時になると産卵のために境内にあがってきます。今年は9月の初旬にも砂をかいて土をかいて穴を掘っている亀の姿を見ました。

一ヶ月ほど前に、朝の散歩をしていて車に轢かれた亀を見たのですが、この夏に卵からかえったばかりの小さな亀でした。道路は川の向こう側ですので、うちの境内ではじめて日の目を見た亀ではないように思います。

うちの境内に生み付けられた亀の卵はアナグマやら野良猫やらに食べられてしまうことが多く、かわいそうだと思っても毎日毎晩見張りをするわけにもいきません。

うちの境内に生み付けられて、川に帰って生き延びる亀はいないのではないかと思っていましたが、今朝手のひらの半分ほどの大きさの亀を見つけました。

何故こんなところに石ころが落ちているんだろうと思って、見てみると小さな亀がじっとしていまして、おいおい亀やないか!と思わず声に出していました。

頭や足を隠しもしないでじっとしています。自分が行く、というか帰るべき川を目指しているのでしょうが、動きません。

手のひらにのせて川のそばまで運んでやるのは簡単ですが、手助けになるどころか却って取り返しのつかないお節介になるに違いないと思って、ただ見ていました。

まったく動く気配がありませんので庫裏に戻って朝仕舞いをすませて、さて、まだいるだろうかと思って見に行くともういません。川までの最短距離にあたる道を辿っても、どこにもいません。

実際に川に入っていくところを見たわけではありませんが、目を離している一時間弱の間に帰るべき川に帰ったのだと思っています。

目を離していたのは一時間弱ですが、小さな亀は十分ほどで川に着いたのかも知れません。親亀が歩くのはよく見ますが、結構速いのです。

こんなふうにして、知らないところで知らないいのちが生まれ、知らないうちに生きているんでしょうね。