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闇 (2/11)

田舎にはまだまだまったくの闇夜があります。うちの町は携帯電話が通じない所の方が多い町です。厚い雲に空が覆われているような夜にでも少し山の方へ車を走らせれば、光がまったくない場所に身を置けます。

そういうまったく光のない場所に身を置いていても、音があると、闇には違いがないのですが、闇ではない、何か違う感じがします。これは実際に自分の身をもって感じることです。

漢字の成り立ちから言うと、闇という字の門構えのなかの音[イン]は音符であるとのことですが、まったくの闇の中でも音があると闇という感じがしないのです。

人の声が聞こえたり、時計の秒針の動く音が聞こえたりすると、人や物があることを想像してしまいますので、どこか闇というものではない気がするということかとも思います。

まったくの闇には音もない。そういうことでなかろうかと思います。光もなく音もない場所に身を置いていると、不安になるばかりなのでしょうか。不安になる方が自然なような気がしますが、何かしら安心を覚えることもあります。

真夜中に家の中の明かりを消した部屋にいて安心というのではなく、自分というものがそこにいるのかいないのかが視覚や聴覚では確認できない安心です。

何も見たり聞いたりしないし、何からも見られたり聞かれたりしない。これは実際には自分の身をもって感じるということはできないのですが、そういう状況のなかに感じるのではなかろうかと思う安心は、さて、何なのでしょう。