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「偽」 (12/28)

12月6日にも書いたことですが、「忙」という漢字は「あわただしい」「せわしない」という意味であり、「亡」は音符ですから、忙というのは心を亡くした状態だという話は、漢字の成り立ちからいえば意味をなさない話だということになります。

同じく「偽」という字についても12月6日に書きましたが、「偽」という字は会意形声文字で、「いつわる」「あざむく」「いつわり」「うそ」「そらごと」「にせ」「かり」という意味。いつわりは人為的になされるから「為」がついており、またこの「為」は音符でもあるということです。

この「偽」という字は一文字で「人為」を意味することもあるようで、人為ということは文字通り人の為すことでしょうから、それが偽りであるというこの字は、一字で「世間虚仮 唯仏是真」を表すといってもよいでしょう。

人が互いに関わり合って形成し、その中で生活している世間、それが虚仮である。そもそも世間を作る人間が虚仮であるからなのでしょうが、私たちはそこにしか生活する場所を持ち得ないわけです。

虚仮であるものが虚仮をつくっている。つくった虚仮の善し悪しを虚仮であるものが問い、虚仮の不具合を別の虚仮で取り繕います。そこには決して満足ということがない。けれども、決してそこから逃げ切ることもできません。

そういう構造に対し、唯仏是真。唯仏是真ということは現実逃避ではなく現実直視であり、私たちが現実としているものが虚仮であると知らしめるということであり、虚に対して実、仮に対して真が何であるかを知らしめる言葉であると言えます。