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逆謗の摂取と抑止-1 (6/21)

又世雄悲正欲恵逆謗闡提、世雄というのは『大経』の序分の処に於て五徳現瑞ということがあります。五徳現瑞という処に於ては、世尊のお徳を阿難が讃嘆する為に、五つの名を挙げて相好を述べているのであります。今日世尊住奇特法、今日世雄住仏所住、今日世眼住導師行、今日世英住最勝道、今日天尊行如来徳。これが五徳現瑞の文でありますが、その第二番目が世雄であります。これはつまり世の雄健なるもの、それはあらゆる悪魔外道もその前には平伏せしめる、それだけの威力を有っておいでになるお方ということ。今日世雄住仏所住。所住に住したまう。所住とは何か、それは即ち大寂定である。大寂定とは何であるか、念仏三昧である。「諸仏を見るを以ての故に念仏三昧と名く」。諸仏現前三昧、或は普等三昧、或は大寂定ともいう。一如の世界に静かに諸仏を念じなさる。能念・所念平等であります。この大寂定に入り給うた時に、世界のあらゆるものが皆平等一如の法位に住する。一々の微塵が皆平等一如である。それが大寂三昧の境地であります。この大寂三昧の境には一切の悪魔外道は影を留めないのであります。故に世雄と称するのであります。

世雄悲正欲恵逆謗闡提。これは『信巻』の末に『大般涅槃経』を御引用になりまして、難化の三機として逆と闡提とが説かれています。逆とは五逆であり、謗とは世間・出世間のあらゆる正法を謗るものである。つまり因果因縁の真理を疑い謗るものが即ち誹謗正法の謗である。闡提とは真実に仏法を求める所の根源たる大菩提心を缺いでいるものをいう。断善根のものであり、一闡提という。『大無量寿経』の第十八願には抑止文というものがある。設我得仏、十方衆生至心信楽欲生我国乃至十念、若不生者不取正覚、唯除五逆誹謗正法。唯除五逆誹謗正法と、如何に十方衆生に至心に信楽せよというても、五逆と誹謗正法は除くのだと、それは本願に摂めることは出来ない。これは本願の文にも仰せになって居りますし、願成就の文にも諸有衆生聞其名号、信心歓喜乃至一念、至心回向、願生彼国即得往生住不退転、唯除五逆誹謗正法。願成就の文にも抑止の文が出ているのであります。抑止はこれは如来の深き方便である。方便を以て抑止なさるのである。

(行信の道  「26 逆謗の摂取と抑止」より)