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応報大悲

顕示難行陸路苦 信楽易行水道楽
憶念弥陀仏本願 自然即時入必定
唯能常称如来号 応報大悲弘誓恩


(この六句は龍樹菩薩の『十住毘婆娑論』と『智度論』によって、龍樹の仏道事業が弥陀の願力に乗じて浄土に往生する道を明らかにせんがためであるとあかされる。)

言い伝えの通り、龍樹大士は大乗無上の法のはたを高くかかげられ、まよいの大海をわたって無上のさとりの岸にいたるには、陸路をひとり徒歩でゆく苦しい難行のみちと、多くの人と共に楽しく船にのってわたる、仏の設けられた易行の法を信楽する大道とを分かち明かされました。かくてこの善き人の仰せにしたがって、弥陀仏の本願を深く信ずるなら、まよいの罪深い凡夫が、おのずと即時に必定の菩薩の世界に入(い)るのであります。このように如来の大悲弘誓の力によってのみ、不思議にすくわれる身を喜ぶならば、常に弥陀の名号を称念して、如来の恩徳をむくいたてまつれよと、大士みずからも念じ、わたくしどもにもすすめて下さったのであります。

難行の陸路・・・自力聖道の修行が山坂のおおい険路を歩くように苦難であることをいう。難行といわれるのは、自力聖道門があらゆる世俗の誘惑にもまた自分の内心におこす誘惑にもたえて、堅固な心を失わないですすめゆく難行道だからである。

顕示・・・難行・易行の二道については、『十住毘婆娑論』の易行品に出、大乗仏教を実践道の上から分別することによって、求道心を純化し磨き上げた。

易行の水道・・・弥陀の本願に托してすみやかに往生の定まる他力易行道は、あたかも水道の乗船が楽しく、しかもねがいが容易に果たされるようなものである。

信楽せしむ・・・易行の本願を信ぜようと私たちにすすめられるの意。

弥陀仏の本願・・・『大無量寿経』には、念仏する衆生をわが国に往生せしめたい、もしできなければ仏とならぬという誓願としてあらわされてある。

憶念・・・心に深く信じていつもかわらないこと。

自然・・・他力をあらわす。人間のはからいや分別のまじわらないこと。

即の時・・・同時という意。信ずる心のおこるたちどころに。

必定・・・かならず成仏すべき身と定まって、ふたたび退かないこと。正定聚とも不退ともいう。それにたいして退転とは退歩、さとった地位や法を失うこと。

如来の号を称して・・・称名・称念といい、南無阿弥陀仏がとなえられること。真実の信心が成就した姿である。

大悲弘誓の恩・・・本願にめざめたのは本願の力による。自分というものがきえ、他力の信がわが全体となって、仏の本願の道が自分の歴史であったと知らされる。そこからかぎりなく一すじに仏道が明らかになってゆくところに、知恩報徳がなりたつ。

(教学研究所編「正信念仏偈」より)