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不断煩悩得涅槃

能発一念喜愛心 不断煩悩得涅槃
凡聖逆謗斉回入 如衆水入海一味


釈迦如来がその出世の大事をかけて仰せになったお言葉によれば、いかなる煩悩悪業の凡夫も、よく一おもい、弥陀の本願をよろこび愛する心を発(おこ)すならば、毛すじほどの煩悩も自分では断ち切る力のない凡夫が、そのまま大涅槃の妙なるさとりを得ることができると仰せられてあります。そして、この本願によってなしとげられた涅槃の妙境には、凡夫も聖者も五逆の罪人も謗法の悪人も、自らの力では到ることができず、皆、それぞれのはからいをすてて、如来の弘誓の信に入りてこそ到ることができるのであります。あたかも大小の川水が海の中に流れこめば、みな同じ海の潮味(しおあじ)になってしまうように、是はこれ罪悪深重煩悩熾盛の衆生を本(もと)としたまう仏(みほとけ)のはからいであります。

能発・・・「能」は不堪に対することばといわれる(愚禿鈔)。人間の意志とか決断によっておこしたものではなく、そういうものではとうていおこせようもないものをおこすことで、本願力回向をあらわすことば。

一念・・・一おもい、一瞬間。本願の名号を信ずる一おもいということ。

喜愛心・・・歓喜信楽の心。信楽に同じ。弥陀の本願を疑いなく深く信じて喜ぶ心。

煩悩・・・怒ったり、恨んだり、楽しんだりよろこんだりする欲望に自分の心が縛られ使われる状態。道を求めてすすむ心をうばいさられるので賊ともたとえられる。

凡・・・凡夫、すなわち煩悩によって迷い苦しんでいる衆生のこと。

聖・・・聖人。智慧や徳のすぐれた人。

逆・・・五逆罪を犯した衆生。五逆とは父を殺し、母を殺し、阿羅漢(聖人)を殺し、僧の和合を破り、仏身を傷つけること。

謗・・・謗法の衆生。正法をそしるもので、宗教的無関心のものも入る。

回入・・・回はまわす、入は帰入の意。真実心にめざめること。自力の心を回転して本願に帰入する意。これをまた回心ともいう。

衆水・・・大小さまざまの河川の流れ。

(教学研究所編「正信念仏偈」より)